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為政者は健さんに徳と仁を学べ  桐山健一

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2015-7-29 10:10 | 最終変更
nbg-toukou  長老   投稿数: 296
          為政者は健さんに徳と仁を学べ
                                               作 桐山健一

 【寅さん】の渥美清さんが表情で、武骨で純真な日本の男を語れる数少ない俳優なら、高倉健さんは立っているだけで背中で同じことを語れる数少ない俳優だった。
また健さんには人を魅了する徳があった 
 <…たった一度だけの共演でしたが、10本も20本も映画を撮ったような、豊かで素晴らしいことをたくさん教えていただきました。映画人「高倉健」の魅力は、そのまま、人間「高倉健さん」の魅力です。美しく、気高く、そして何よりも優しい健さんを一生忘れません。神様みたいな人が、本当に神様になってしまったようです。(女優・大竹しのぶ)>。

 『幸福の黄色いハンカチ(77年)』は、私たち日本人が忘れていた≪愛の絆とは何かを≫、健さんの口から出る飾らない純朴な男のことばから、鮮明に強烈に心を打たれ涙した。共演した武田鉄也さんー「僕みたいなやつに演じることの純真さを教えてくださった。生涯の宝だと思う」。健さんに≪あなたに褒められたくて≫というエッセーがある。
 ≪…お母さん。僕はあなたに褒められたくて、ただ、それだけで、あなたがいやがっていた背中に刺青を描かれて…さいはての『網走番外地』…、雪の『八甲田山』…まで、三十数年間駆け続けてこれました≫。

 健さんが食べるために入った俳優養成所では「映画に向いていない…ほかの人の邪魔になるから見学していろ」と言われたやるせない苦悩を救ったのはお母さんの『何事も辛抱ばい』の一言だった。

 健さんはかつての日本の男が抱いていた、はにかみと哀歓と誠実さを併せ持つ少々不器用な男の鏡だった。そんな健さんを山田洋次監督は、故渥美清さんと共に、映画人生で出会った偉大な俳優として名前を挙げ
 「今ごろ二人が話をしていらっしゃるかな。『黄色いハンカチ』にも渥美さんと健さんが久しぶりに会うシーンがありますが、あの情景が僕の目の前に浮かんでいます」。

 高倉健さんは、人生のすべてを映画人として純朴で誠実な生き方を、スクリーンにささげた。健さんの功績は、現今の閉塞した社会が失った、かつての純朴で誠実な日本人の心を学ぶための教材である。今われわれは健さんの映画を、真摯な心で鑑賞したいと思う。

 『幸せの黄色いハンカチ』の冒頭刑務所から刑期を終え、出所した直後、健さんは食堂に入る。女店員についでもらったグラスビールを、何年も飲んでないビールを深く味わうように飲み干した。…そしてラーメンとカツ丼を美味しそうに食べるシーン…いかにもリアリティーのある美味しそうな演技…。山田洋次監督は1テイクでオーケー。あまりに見事なので山田監督が問い尋ねる
 「この撮影のために二日間何も食べませんでした」と、ポツリと答えた。

 映画監督・張芸謀は健さんの強烈なファンである。彼は『単騎・千里を走る』の撮影の際、健さんが休憩の時に一切座らず、スタッフに遠慮して立ち続けている。そして現地採用の中国人エキストラ俳優にまで丁寧に挨拶しているのを見て≪こんな素晴らしい俳優は中国にはいない!≫と感嘆する。

 インタビューでギャラも大事…と聞かれ
「ハイ…でも、時々ね!ギャラより大事なものが出てくる。痛切に感じたのが中国で撮った『単騎・千里を走る』でした。
撮影が終わった時に、百何十人のスタッフがみんな泣くんです。僕に抱きついてね!」

 昨今、徳(心がきれいで、すべての行いが人の模範となる)や、仁(相手の立場を重んじ、他人に対する優しさ)のある人を見ない。天国に旅立った健さんから、為政者は徳や仁を学んでほしいと想う。




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