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アルプス秘話
3、浜美代(1)

4、浜美代(2)

麻薬と一口に言っても、その内容は多岐に渡っていてそう単純ではない。

アヘン、モルヒネ、ヘロイン、コカイン、覚醒剤、大麻、LSD,MDMA……まだまだ、これはほんの一部なのだ。

まず、麻薬の中でも膨大な量を占めるのがその即効性から、「スピ−ド」と呼ばれる覚醒剤だ。これには医療向けの正規の合成薬物であるアンフェタミン系薬剤などがあり、化学構造の違いによって、アンフェタミン系、

デキストロ・アンフェタミン系、メタンフェタミン系の3種に分けられる。

これらの使用が長時間におよぶとコカイン同様に中枢神経を侵すのだが、麻薬密造グル−プはこれを単独では売らない。純度が高いままでは末端価格が高くなって売れないからだ。彼らはこれに乳糖や嘔吐剤、殺虫剤や写

真の現像液などを増量剤として混ぜて単価を下げ、売りやすくして市場に流す……これがショック死や中毒患者、廃人を生む。

しかし、覚醒剤常習者から言わせれば、これらのリスクなどはその服用によって得た快感から考えれば、混ぜ物でも何でも手に入れば何でもよくなってくるのだ。

服用には、カプセル状にしたものの服用、粉末状の鼻からの吸引、粉末を水に溶かしての注射とあるが、もっとも即効性があるのがスピ−ディングと言われる注射で、これは瞬間的に循環器系に作用してラッシュ状とい

う高揚した快感を生み、遊園地の高速ジェットで浮遊するかのようなハイな気分の中で妄想を現実化したような性的快感をも味わうことが出来るのだ。ただし、それは長くは続かない。やがて、薬効が切れれば現実に戻り、

エネルギ−の切れた肉体にはただ疲労感が残るだけで、結局は、惨めな自分の姿を見なければならないのだが、その悲惨さはそこに辿り着いた者以外には分からない。

大麻は中央アジアで多産される桑科の一年草で、その乾燥した葉を刻んだものをあぶって、その煙を吸引しただけで陶酔状態になり、その幻覚作用によって超人的な行動が可能になるという恐ろしいもので、これを多用

すると、脳傷害、気管支炎、咽喉ガン、大麻精神病と呼ばれる妄想病や思考力低下、抑制力の欠如などから異常行動となり、傷害や殺人などの異常犯罪に駆り立てられてゆくことになる。その害は社会悪として世界中に認

められ、今ではこの大麻を所持するだけでも死刑にされる場合もあるほどなのだ。

コカインは南米各地を原産地とし、コカという灌木の葉から抽出された白いふわふわした細かい結晶状物質で、医学的には麻酔薬として重要な役割を担っているが、このコカの乱用はごく少量でも人の命を奪うか人間廃

業につながる恐ろしい麻薬で、鼻から吸引すると鼻炎や肺炎につながり、この中毒症状は、皮膚の中に寄生虫がはい回るように感じる妄想と、脳が侵されて痴呆症状態となるのも大きな薬害だった。コカインは、鼻腔内吸

入、注射、喫煙によって使用されるが常用される呼び名も多く、その白い結晶状コカインと混ぜ物は、色や形状、注入法などから、スノウ、ホワイト、スノウバ−ズ、コ−ク、ノ−ズ・キャンディ、ブロウ、レディ、ハッピ

−・ダストなどと呼ばれていた。さらに、本来は純白であるコカインも、精製の過程でベ−ジュ色か薄い茶系の製品をベレット状や透明カプセルに入れたものを、クラック、ロック、フリ−ベ−ス・ロックなどと呼ばれて、

これも大きな悪魔のマ−ケットを広げていた。

ヘロインは、ケシから採取された生アヘンによって得られるモルヒネから合成された医薬品で、かつては日本でも咳止めとして薬局で売られていた。

それが、意識障害や呼吸困難、流産・死産、不整脈、肝臓疾患など人体に著しい害を与えることが判明し、昭和20年以降はアヘン系麻薬として取り締まりの対象になった。

ヘロインは、モルヒネの誘導体ながらモルヒネの数倍もの強力な陶酔感や浮遊感があるがその害もまた大きい。その急性中毒症状では、瞳孔が縮小し悪寒状態が続き、ショック状態から昏睡状態に陥り死に至流こともある。

通称は、スマック、スキャック、ブラック・タ−ル、ボ−イ、ホワイト・スタッフ、ハード・スタッフなどで知られている。

美代は、恋人を奪った麻薬に対しては異常なほどの憎しみを抱えていた。

フランス警察庁では、この事件に麻薬マフィアの介入が疑われるようになった時点で国際法上の形式を踏んで広域捜査に切り替え、インタ−ポ−ル(ICPO)を通じて隣接する各国に、財相の救出への協力を要請すること   に踏み切り、日本の警察庁にも財相救出への参加要請を行った。

すでに、日本の警察庁国際共助課には日本大使館を通じて、迫丸第二秘書の死と、人質の財相と私設秘書の元警部が拉致犯に連れられて、スイス・アルプス方面の山岳地帯に潜伏中であるとの情報が流されていた。

ただし、この時点では麻薬密売組織との関連については極秘だったから、日本大使館には拉致された小城財相の救出作戦とだけしか知らされていない。

したがって、日本の警察庁もこの時点では財相救出以外には目が向いていなかった。

それでも日本側の応対は早く、大使館から非公式ではあったが拉致事件の第一報が入った時点から動き出していて、警察が動けない初動作戦時に民間の警備会社から警護員を出向させていた。

そのことは早くも大使館からパリ警視庁には伝わっていた。

しかも、その警護員はすでにパリ経由でスイス入りして警察の救出隊との合流を待っているという。したがって、この民間の警備員は麻薬マフィアが絡んででの拉致事件であることは全く知らずに行動していることになる。

しかし、インタポ−ルから日本に正式要請が出た以上は、財相救出に日本からも警察官を派遣しなければならない。だが、パリ警視庁での深夜の合同会議に続く早朝の救出隊派遣へのタイムリミットには、日本からではもう間に合わない。かといって民間の警備員だけの参加では救出隊参加にも武装や

行動にも限度がある。

日本の警察庁では緊急事項として各都道府県警本部に問い合わせて、EU圏などパリにすぐ直行できる範囲内に派遣している警察官の有無を調べさせた。

その結果、神奈川県警本部の防犯部保安課から研修生としてパリ郊外のインタポ−ル(ICPO)本部に派遣されている麻薬捜査官・浜美代巡査部長の存在を知ったのだ。ただちに警護課とも連絡をとり、神奈川県警本部長に警察庁からの協力要請を伝えた。

そこで、神奈川県警本部長から、在パリの浜美代巡査部長に、財相救出および麻薬組織壊滅作戦参加への要請が出たのだ。

警察庁では大使館経由で、パリ警視庁総監あてに「適任者一名あり」を打電した。

パリはすでに夕暮れている時刻だった。

その連絡が遅れて、浜美代の元にパリでの上司にあたる香港警察の揚警部から緊急出動の電話が入ったのは、パリ郊外のインタポ−ル(ICPO)寮内で、美代がすでに夕食を終えてテレビの娯楽番組を楽しんでいる時だった。

5、出動(1)


XOOPS Cube PROJECT