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アルプス秘話
6、リザーブ(2)

7、麻薬マフィア

 ヘリから降りた団体客が10数人、なだれ込むように回転レストランに入ってきた。
 その中の恰幅のいい縦縞のダブルの茶系ス−ツを着て葉巻をくわえた来た50代の太めの男が、フロアマネ−ジャ−を呼んで、早口で何事かを命じている。
 その背後に用心棒なのか子分なのか人相のよくない屈強な男たちが並び、その中に不精髭で顔がはっきりしない日本人らしい男が一人いた。
 二郎がよく見ると、元警視庁警部で財相秘書の草苅武男に間違いない。
二郎にとっては昔の剣道教官でもあるが、それほど親しい間柄でもない。
草苅からみても二郎のことなど記憶にないらしく、チラと視線を投げただけで二郎には気づきもしない様子だった。もっとも二郎の無精髭は以前はなかったから見分けようが無かったのかも知れないが。
 それにしても、草苅武男はどう見ても連行されているようには見えないし、手が縛られているわけでもない。まるで仲間のような雰囲気なのだ。
 ウエイタ−、ウエイトレスを召集して何事かを相談したフロアマネ−ジャ−が、店内に進み出て、客席に向かって恐縮したように頭を下げフランス語、英語で説明する。
「こちらのフロア−は、ただいまからリザベ−ションになります。一般のお客さまは、料理はそのままお持ちしますので、下のレストラン〔イ−グル〕にお移り願います」
 当然のことだが、居残った一般の観光客からブ−イングが出た。
「冗談言うな。今、料理がきたばかりだぞ!」
 カナダ人だという老夫婦の夫が猛烈に噛みついた。
「急の事情がございまして、申し訳ございません」
 マネ−ジャ−が困惑した様子で頭を下げると、カナダ人が強い口調で息巻く。
「失礼じゃないか。これから食事を楽しむんだ、絶対にここで食事をする」
 マフィアの用心棒らしい男がテ−ブルに近づき、凄味を効かせて脅す。
「今日の午後3時からパ−ティ−会場に予約してあったのを、支配人が度忘れしてやがったんだ。さっさと退いてもらおうか。それとも痛い目にあうか?」
 老人の怒りが爆発した。夫人の手前でもあるから後には引けない。年齢を感じさせない俊敏さで、その無礼な用心棒の顎に一発、見事なストレ−トを炸裂させると、男が吹っ飛び、テ−ブルに頭を強打して悶絶した。とても、老人には思えない。
 フロア−内の全員が声を上げ腰を浮かせて、突然の出来事を呆然と眺めている。



8、麻薬マフィア(2)


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