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アルプス秘話
6、パリの灯(2)

7、パリの夜(1)

 葵たちはまだ開放されなかった。
 パリ警視庁での簡単な形式だけの調書取りのあと、シャ−ロット刑事の案内で、急いで駆けつけた日本大使館の守口大使とオギ財相と葵ら女性3人と二郎を交えた日本組全員で総監室に立ち寄ると、ロメ−ル総監が歓迎の握手で出迎えて、応接室でカプチ−ノ・コ−ヒ−とケ−キで歓待した。
 シャ−ロット刑事が今までの経過を報告すると、ロメ−ル総監が小城財相をはじめ全員に肩を抱いて大げさに感謝の気持ちを表し、言葉を添えた。
 それを、太めで品のいい守口大使がメガネに手を当ててから翻訳する。
「日本の方々がいかに勇敢であったかは、クロ−ド警視から電話で聞いてはいましたが、今、あらためて報告を受け、オギ大臣をはじめ、みなさんが大変な働きであったことを再確認しました。おかげでEUの主な麻薬マフィアを逮捕することができました。オギ大臣の二人の随員の死はお気の毒でした。心からご冥福をお祈りします。しかし、さまざまなご苦労はお察ししますが、大臣がご無事であったことは日本とフランス両国にとっても何よりもラッキ−な出来事でした」
 ロメ−ル総監が、小城財相をはじめ葵ら全員にダンヒルの製品をプレゼントしながら握手をしてから深い謝意を述べた。葵ら女性3人にはシルクのショ−ルが送られ、財相と髭男の二郎には金張りのライタ−が贈られた。
ロメ−ル総監は、この夜は祝賀の準備もなくて、と詫び、翌日に急遽予定された日本大使館主催の昼食会には、パリ市長らと共に出席すると約束した。これで、波乱に富んだ一日が終わった。
 パリの骨董横町で死んだ迫丸圭一の遺体はすでに司法解剖を終えてある翌朝、霊安所で日本から来る家族との対面を待つことになっていた。家族はすでに成田空港を立ったという。遺族の確認を待ってパリ郊外の斎場に行き、お骨になって帰国することになる。
 草苅武夫秘書の死もシルトホルン山頂からの連絡により、すでに日本大使館経由で警察庁、警視庁および家族に知らされていた。本来は遺体を解剖し、家族の到着を待って斎場に行くべきだが、小城財相がすべての責任を負うということで、特例として夜のうちに焼却に付して財相が帰国時に持ち帰り、成田空港で財相から遺族に手渡されることになっていた。そのお骨は、遺族を含む関係者および元同僚の警察幹部などから、盛大な出迎えを受けることになった。
 警察庁、警視庁、千葉県警からも本部長が出席するという。
 どこから要望が出たのか、浜美代も財相と同じ便で帰国することになった。
「わたしは明日、クロ−ド警視とダニエル警部らの帰還を待たずに、しかも、研修なかばにして帰国するのは残念だけど、葵たちは?」
「わたしも恵子も、せっかくのスイス観光が日帰りでパリに逆戻りなんて消化不良もいいとこよ。今度はしっかりとオルセ−、ル−ブル、ベルサイユ宮殿なども見てくるわ。あと三日もあるんだから」
 パリ警視庁の建物を出る前に、守口大使が財相や葵たちをディナ−に誘った。
「今から食事しませんか?」
「今日はワシがおごろう」
 すかさず財相が言った。
 葵はラフな服装で汗くさく汚れた自分を考えて、ホテルに戻って一刻も早くシャワ−を浴びたかったから丁重に断った。しかし、回転レストランでの食事を邪魔者の乱入でやむなく中断させられ、空腹に耐えかねていた恵子が葵の肘をつついて囁いた。
「お腹が空いてるんだから、ご馳走になろうよ」
 その声を聞いた途端に、葵の気持ちが変わった。シャワ−よりは食欲が優先する。
 結局、財相のポケットマネ−のおごりで食事に行くことになった。
    
8、パリの夜(2)


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